Q-AOSプロジェクト

Q-AOSは、SDGs(国連持続可能な開発目標)を基軸としてアジア・オセアニア地域における社会的課題の解決と異分野融合による世界水準の研究を推進することを使命としています。本ページでは、Q-AOS専任教員が主導する研究プロジェクトを紹介します。

「遠隔予防医療とワンヘルス」

「サムネイル画像:「遠隔予防医療とワンヘルス」」

横田文彦 准教授

参加研究者:

1. 中島直樹(九州大学病院・メディカルインフォメーションセンター教授・センター長)
2. ラフィクル・イスラム・マルフ(九州大学病院・メディカルインフォメーションセンター・特任准教授)
3. アシル・アハメッド(九州大学・システム情報科学府)
4. 錦谷まりこ(九州大学病院・メディカルインフォメーションセンター・学術研究員)
5. 菊地君代(九州大学保健学科・講師)
6. 佐藤洋子(九州大学保健学科・助教)
7. 伊豆倉理江子(九州大学病院・メディカルインフォメーションセンター・学術研究員)
8. 穴井茜(九州大学・アジア・オセアニア研究教育機構・特任助教)

概要:ポータブルヘルスクリニック(PHC)

「ポータブルヘルスクリニック」(PHC)と呼ばれる遠隔医療およびモバイル健康診断システムは、2008年に九州大学とバングラデシュのグラミンコミュニケーションズとの共同研究が始まりました。システム情報科学府のアシル先生と九州大学病院・メディカルインフォメーションセンターの中島先生が中心に研究を進めており、私は2015年からインド・ビヤニ大学、インドネシア・ガジャマダ大学、マレーシア大学・サバ校、中国・貴州省疾病予防センターとの国際共同研究に従事しています。PHCはオンラインによるe-ヘルスサービス提供システムであり、ブリーフケースに一連の非感染症・感染症検査デバイスが含まれており、Skypeを使用したモバイルヘルスチェックと医師のカウンセリングおよび電子処方箋を可能にします。このPHCサービスは、2010年以来バングラデシュ、タイ、インド、マレーシア等で40,000人以上の受診者データを蓄積しています。アジア地域におけるベーシックな医療サービスが受けられない方々へ医療予防アクセスを向上させ(ユニバーサル・ヘルスアクセス)、SDGsの概念である「誰一人取り残さない社会」の実現を目指します。

図1:PHCによる遠隔予防医療サービス(データhttps://www.portablehealth.clinic/

概要: ワンヘルス(人獣共通感染症とデジタルヘルス)

新型コロナウィルス感染症はじめ、多くの感染症は野生動物や家畜・家禽由来の「人獣共通感染症」です。グローバル化、人口増加、環境破壊等により人と動物の接触・拡散機会が増加する中、これら動物由来の感染症を予防するためには、「人・動物・生態系の健康を一体」として捉える「ワンヘルス(One Health)」と予防医療の「デジタル化」の推進が不可欠です。本研究は.新型コロナウィルスパンデミックのような複雑・複合的、かつ予測困難な人獣共通感染症の問題解決のため、上海交通大学・グローバルヘルス学部(医学、獣医学、公衆衛生学)他、農学、環境生態学等の「学際研究」、さらに福岡県ワンヘルス推進室、AI診断やバイオテクノロジー企業や国際機関と産学官民ステークホルダーと協働し、研究を計画、実施、普及させていくことを目的としています。現在は上海交通大学や上記のステークホルダーとオンラインで勉強会を実施し、国際共同研究計画の立案、外部研究資金の共同申請、共同実施・国際共著論文作成へとつなげていく計画です。

画像:ワンヘルスの概念

図2:ワンヘルスの概念

(データ:https://www.pref.fukuoka.lg.jp/somu/ken-dayori/202011/html/special.html